Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
彼女は、私の知らないことを
いろいろよく知っていたし、
彼女と話していると、
達観した物の見方、驚くほどの知識がある。
つい同じ年だということを忘れてしまう。
男の子からも、
朱音に話しかけるのは、
余程勇気がいるらしく、
まず、横にいる私に、
なぜか、お伺いをたててから、
近づいてくという約束事ができていた。
確率から言うと、
そんな手順を踏もうが踏むまいが、
朱音が、
同年代の男の子と付き合うなんて、
かなり低いはずだ。
けれど、いったんそうしたほうがいい、
という噂が立つと、
みんな習うように同じことをした。
私は、朱音への取次ぎのおかげで、
私の学生生活は、常に誰かに遮られ、
一人でゆっくりするという経験が少なかった。
でも、私には不満はなかった。
朱音やナオと知り合わなかったら、
私の人生はもっと平凡で、
詰まらないものだったと思うから。
そう思えば、
朱音とナオのために、
時間を使うなんてことは、
些細なことだと思った。