Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「せっかくだけど、教えるわけには
いかないの。私にそんな権限ないから」
せいぜい、もったいぶって答えた。
「そりゃそうだ。じゃあさ、
あんたの番号でいいや」
私は、さっきより、冷ややかに彼を見つめた。
残念なだけじゃなくて、頭が弱いのだろうか?
「ごめん、私、携帯電話無いんだ」
「そう…」
「家の電話は?」
「それも無い」
「じゃ、君は、どうやって連絡取るの?」
「さあ、運がよければ、
見つけられるかも。
私には、携帯が必要なほど、
話しかけたいひとは、いないから…
ごめんなさい。私急いでるから」
「あっ、俺、経済学部の高城直哉」
「そう、じゃ、またね!
ごめんなさい、もういかなきゃ」
私は、自分の名前を名乗らないで、
そのまま行ってしまった。
名乗るまでもないと思った。
もう会うこともないと思ったから。
私は、ナオに対して
良い印象を持てなかった。
出来れば、2度と来なければいいのに、
と思ったくらいだった。