Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
ー春?どうした
「ごめん、電話なんかしちゃって」
森山さんがにやっと笑った。
私は、なるべく会話が聞こえないようにと、
彼女に背を向ける。
ーいいよ。
それより、俺もかけようと思ってた
ところだったから
「ごめんなさい。仕事中に。もう切るね」
ー待って!
出張、長引きそうなんだ。
だから、しばらく会えないけど、
時間見つけて会いに行くから…
「うん」
―好きだよ
「あっ?…そう…」
―春妃は?
「ねえ、ふざけてるなら、もう切るよ」
―ふざけてなんかない。本気だよ。
「知ってるよ。ナオの本気は半年の期限付きだもんね」
―おい、待て、切るなって。
森山さんが、
また、私の手から携帯電話を奪った。
「もしもし、私、春妃さんと
同じ会社で働いてる、森山由貴です。
初めまして。
高城さん、何やってるんですか!!
メールの返事、ちゃんとくださいね!」
「ちょっと、森山さん!」
「春妃さんに、代わらなくていいですか?」
「由貴ちゃん!電話返して」
私は、声を大きくした。
「高城さん、
早くしないと、春妃さん取られますよ。
あれで、すごくモテるんですから」
森山さんが、ナオに向かって言う。
「これでよしっと!」
森山さんが、電話を返してくれた。
「取られるって何のこと?
それに、もてるなんて嘘ついて」
「なに言ってるんですか?
前野係長が牽制してるから、
誰も手が出せないんでしょ?
わかってないんですね。
でも、大丈夫。
ナオさんには、ちゃんと通じましたよ」