Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
1時間を少し過ぎた頃、
久俊さんがドアベルを鳴らした。
「ええっ?もう着いたの?」
朱音が言っていた事を思い出した。
付き合ってない、男性を泊めたりしない。
私としては、久俊さんは、
元カレだから、
泊めるのは無いと思ってたけど。
私の顔を見るなり、満面の笑顔で抱きしめられると、
帰ってくれなんて言えなくなる。
中に入ってくると、
「ええっ!!
ご飯まで用意してくれてたの!
うれしいな。
春ちゃんの手料理久しぶりだな。
ずっと食べたかったよ」
一人で食べようと思ってた、
冷蔵庫の残り物を炒めたものと、
買ってきたお総菜くらいしか
用意してないのに。
「ごめんなさい。
し、知らなかったから、
特別なものは何もなくて…
自分で食べようと思ったものだから」
「それで、十分だよ。
ああ、落ち着くな。春ちゃんとこは。
あっ、そうだ。
おみやけとビール買ってきた」
久俊さんが、袋に入った、
いい匂いのする手羽先と、
缶ビールをテーブルに並べた。