Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「名古屋のプロジェクト、
順調だってね。よかったね」
私達は、ビールで乾杯した。
「ああ、一人は寂しかったよ。
だから…早く帰れるように、
がんばったかな。
名古屋が終わらないうちに、
こっちが始まるから、最初は、
平行してやることになるけど…
君と居られる方法を取ったから、
これからは、もっとキツくなる。
だから、充電させて…」
久俊さんは、大人だと思う。
どんな現場も、スケジュールは、
きついに決まってるのに、
遅れずに作業を進めるのは、
どれだけ大変なことか、よくわかる。
それなのに、大袈裟に、
自慢するようなことはない。
「終わったら、
こっちに帰って来るの?」
「ああ、そのつもり。住むとこも、
考えておこうと思ってね。春ちゃんは?
横浜がいい?」
「どうして、私の意見なんか聞くの?」
「こっちに帰ったら、
君も、一緒に住むつもりだから」
「えっ?あの、私、
まだ、このアパートで、
一人でいるつもりだけど」
久俊さんの顔に、落胆の色が広がる。
一緒に住むって、どういうつもりなの?
しばらくして、
久俊さんが、ため息をつく。
「新しく分譲のマンション買うつもり。
春ちゃんと住むために」
「一緒に住むって、そんな。急に…」
「急じゃないだろ?
二年間って言ったよな、俺。
そのうちに、高城君のこと、
どうにかならなければ、
あきらめろって約束しただろ?
結論出すのに、二年あれば十分だ。そうだろう?」
そんな約束、すっかり忘れてた。
「まだ、二年経ってないよ…」
「わかった。でも、
その間、何も起こらず、時間が過ぎたら、
籍を入れる約束、覚えてる?」
「籍って、ええっ、聞いてないよ。
うそ…
あの…そうだっけ?
そんな約束だった?
それ、まだ有効なのかな」
「当たり前でしょ」