Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
「残念だけど、今日は帰るか…
だけど、ここまできたご褒美、もらうよ」
久俊さんは、私を抱きしめると、
唇に軽いキスをした。
「久俊さん…」
久俊さんが、ここに泊まるなら、
私は、朱音の所に行くから、
ここに泊まってと、久俊さんに言った。
久俊さんは、そこまでしなくていいよ、
そう言って、
近くのホテルを予約して部屋を出て行った。
「でも、俺も限界。早く君の側に戻りたい。
それで、高城とは、どうなった?」
「うん…」
「2年だよ。春ちゃんには、
期限が必要なんだ。
だから、それを越えたら、
ちゃんと前を向いて歩き始める。いいね?」
あんな約束、冗談だと思った。
別れ際に感傷的になっただけの。
久俊さんは、本気なのかな…
気づいたら、私はナオに電話をかけていた。
ナオ、どうしよう…
呼び出し音のあと、聞こえたのは、
留守番電話のメッセージだった。
ナオは出なかった。
留守電に、
「話したいことがあります…」
と伝言を残した。
ナオは、付き合おうって言ってた。
だから、私達は、
どうにもならない関係じゃないはず。
まず、それを確かめたかったのに…
ナオのバカ…
1時間くらいして、ナオから電話が来た。
「やあ!」
騒がしくて、ナオの声が聞き取れない。
明らかに酔って、周りに人の声がした。
ーなんだ?彼女か?
横から、同僚らしき男性の声がする。
ーいえ。友達です。
なんだあ、良かったな。
こいつ彼女いないって。
でも、付き合ってない女なら
何人もいるんだろ?
このモテ男!!
ー友加里ちゃんの前で、
彼女に電話はないだろう?
友加里ちゃん、やっぱ、俺にしとく?
何?高城じゃなきゃダメ?
くそっ!!女は
何で、こいつばっかりなんだよ!
「春ごめん、またかけ直す」
プーっていう音と共に電話がキレた。
一言でよかったのに。
あの約束、ちゃんと活きてるよ。
そう言って欲しかっただけなのに。