Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
こんな風に、神経質に思われる点も、
彼が笑いかけた瞬間、
煩わしいことなんか、
どうでもよくなるほど、
目の前の相手を圧倒してしまう。
その瞳に、
吸い込まれそうにならないように、
必死に抵抗するのが、
数少ない私にできることだ。
ナオは、今日も、キチンとして、
混雑した店の中でも、
姿勢が崩れることがない。
育ちのよさから来る清潔さに、
時々見せる、
いたずらっ子のような無邪気さ。
これが、予期もしない、
破壊的な威力を発揮する。
不意に笑いかけられ、
見つめられて落ちた女の子なら、
何人も知ってるし。
だから、何やっても余裕があるのだろうな。
ごめんね、ナオ、
私のリクエストで
安い居酒屋にしたために、高級なスーツに、
焼き鳥の匂いなんか
染み付つかせて、申しわけないと思う。