Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
会議のあとも、
会議室で協力会社の人と、
しばらく雑談をしていたら、
久俊さんが会議室に入って来た。


「前野さん!」

「係長!」

周囲が騒がしくなった。

前野係長は、一緒に仕事した仲間に、
信頼を寄せられている。


だから、今日みたいに、
サプライズみたいな形で、
彼が目の前に現れると、

主人の帰りを待っていた、
技術者が彼の周りを、
飼い犬みたいに囲んでしまった。




「帰って来たんですか?係長!」
涙ぐむひともいる。


「まだ。今日は、一時的にね。
もう少ししたら、ちゃんと帰って来るよ」


「恩田さんも待ち遠しいでしょう?」


「私が、前野さんに用があるときは、
だいたい迷惑かけると、決まってるもの」



「そんなことないよ。
春妃の迷惑なんて大したことない」

久俊さんが、私の背中に手をまわす。


「本当に仲いいんだな。早く結婚しちまえよ」


「それもそうだな、春妃」
久俊さんの腕が更に私の体を引き寄せる。


「人前です」私は、久俊さんから離れた。


「大丈夫、前野さん、
帰って来るまで、見張っておくよ」


「頼むよ」


「もう、時間でしょ。下まで送る」


「あの…私が行きましょうか?」

森山さんが、顔をのぞかせて言った。

「ありがとう。でも、お気遣いなく」
久俊さんは、由貴ちゃんに一瞬だけ、
笑顔を向けると、今度は腕を私の肩に回した。


「仕事中だってば」

多分、その時だったんだろう。
私は、彼女に写真を撮られたことに気づかなかった。

そっか、由貴ちゃんの言う通りだ。
私は、久俊さんに守られてる。

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