Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~






***   ***   ***


春との付き合いは、彼女が
朱音に付き添って、一緒について来たからだ。


「高城君、明日車出してくれない?」


車?はあ?俺、
春休みに免許取ったばかりなんですけど。


堀田朱音から、呼ばれる理由は、
これだ荷物係り。


まあ、それでもいいかと
思わせる何かが彼女にはある。


一緒にいて楽しいし、
趣味も悪くないけど、

朱音は、何故かどうでもいい女の子を
一人連れて来る。


春ちゃんと呼ばれるその子は、
ちゃんと俺達に気を使って、
俺と朱音の後についてくる。


別に、朱音とどうにか
成りたい訳じゃないから、
そんなに気を使う必要はないんだけど。

はっきり言って、邪魔だった。
なんで付いてくるのって



大学のキャンパスで、春ちゃんを見つけた。
これは、また。
全然、乗り気じゃない
春ちゃんを俺の車に乗せる。


何でこんなやる気のない、
女誘わなきゃならないんだ?


「どこに行くの?」

どうやら、恩田さんもこのまま、
どこにも行かない方が嬉しそうだ



「堀田さんにどこにいくか、
聞いてないの?」


「彼女が、前以て、告知するわけないよ?
授業が終わったら、
付き合ってくれるって言われただけ」


「じゃあ、俺も同じだ」


「高城君、私がいると邪魔なんじゃない?」


「いや。そうでもないよ。
それは、気にしないで」


彼女は、俺のことを心配して
言ったんじゃなく、
自分はこの場に居たくないから
そう言ったんだろうと思った。



俺も、彼女に同情した。
表参道で、堀田さんの買い物に
付き合うタイプには、とても見えないから。

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