Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
待ち合わせの時間に少し遅れて、
堀田朱音が来た。
あたりまえのように、
助手席に乗って、
車を出してとばかりに、こっちを見る。
女王様のような振る舞いだという、
付属高連中の噂は聞いてたけど。
まあ、
これだけキレイだから、仕方ないけど。
が、次の瞬間、俺は唖然とした。
車に乗り込むと、堀田はすぐに、
バックミラーで、
春ちゃん、遅くなってごめんと
声をかけて、嬉しそうに笑った。
なんだ、あれ。
しばらく、
二人のやり取りを聞いてた俺は、
「いちいち振り返るの面倒だろう?
後ろ行ったら?」
「いいの。ここで…
高城君、あ、ありがとう」
「いいよ、そんなことって、えっ…?」
驚いた。
この時は、本当にびっくりした。
俺は、その事には、触れないで、
「表参道って、どこに停めればいいの?」
朱音は、さっきの態度とうって変わって、
顔を赤くして、うつ向いている。
「適当でいいわ」
「ああ、そうだね。わかった」
朱音に対して、俺は、
180度違う印象をもった。
春ちゃんて子に対する反応は、
他の人に対するそれと、
まったく違うと思った。
そして、
案の定、運転手扱いの俺は、
何とか見つけた駐車場で車を止め、
二人の後について 歩くという、酷い扱いだ。
朱音は、自分の好みの店があるのか、
迷わず進んでいく。
「ちょっと遠いけどごめんね」
朱音が春ちゃんって子にいう。
驚いたのは、俺と同じ扱いのはずの、
地味目な女の子に、
朱音が凄く気を使ってることだった。
もしかすると、
この娘、政府の要人の娘とか?
高給官僚の娘とか?
朱音ん所は、不動産業だから、
親に何か頼まれてるのか?
じゃあ、なんでバイトなんかしてんだ?
生活費に当てるなんて言うのは、何故?