Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~


いい機会だ。由貴ちゃんにちゃんと話そう。
香津美さんのように、嫌われても。

「由貴ちゃんこそ、必死になったら?

新しいプロジェクトのメインとして
やりたいだなんて、
本気とは思えないよ」



私たちが、所属する運用部は、
自社で完成したシステムが、
稼働してからが、本格的な作業にはいる。

だから、それまでは、
話を聞いて来るだけのつなぎで構わない。

けれど、これからという若手を付けることで、最初から関わったプロジェクトだという、
愛着を持って欲しい。


それが、前野係長目当てって…



私なら、少なくとも、
そう言い出すだけの実力を
見せてからアピールする。


「だって、開発担当の責任者、
前野さんだもの」


言葉を失った。実力はある子なのに、
何で私情なんかにつられるのかなあ。


「がんばるなら、入れてあげてもいいわよ」


「サブなんて嫌です…」


「本気で?メインでやりたいってこと?」

口元から、笑みが漏れる。
動機は何でもいいのだ。
たとえどんなに、不純でも。


「なに、喜んでるんですか…」

「由貴ちゃんもね、やればできる子なの。
今からでも遅くない。
よっし、二人で頑張ろう」


「頑張ったら、
一人でやらせてもらえるんですか?」


「一人…。由貴ちゃん、トラブルん時
一人だと何時間もつ?」

「一時間くらい」

「じゃあ、一人でやれるのも、一時間かな」

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