Longing Love ~あなたに恋して、憧れて ~
レストランの雰囲気に、
飲まれたのか、
由貴ちゃんは辺りを見回して、
ポカンとしている。
「うわあっ。すごい」
「お席のほうは、
いつもの個室でよろしいしょうか?」
「ああ」
「では、ご案内します」
「先輩って、いつも、
こういうところに来てるんですね。
うらやましい」
「まさか」
「春と食事するときは、
いつも居酒屋とか定食屋だよ」
ナオが、由貴ちゃんに耳打ちする。
「どうしてですか?
私なんかを、こうやって
すぐに連れてきてくれる人が」
「さあ、どうしてかな。多分、
たくさんおごってもらって、
借りを増やすのが、嫌いなんじゃないかな」
「どうしてですか?
ナオさんは、
先輩に貸しを返して欲しいなんて、少しも
思わないのに」
「大事な友達だからよ」
「さあ、メニューを見て早く決めろ
だってさ。
なんかリクエストある?
無いんならシェフに任せるよ」