大切にしたいから。

「凪咲、おはよう！」
「おはよう」
「あれ？奏汰くんは？」
「おいてきた」
｢おいてきたって（笑）奏汰くんも大変だね｣
｢なにが大変なの。あんなやつ悩みもなんもないでしょ｣
遥香と話していると。
「お前‥‥速すぎ‥‥。つか、おいてくなって‥‥っ。」
「もう来たの？もうちょっと遅れてきてよかったのに」
「遅刻だけはごめんだ」

今日も何事もなく学校が終わり、今は電車に揺られながら家に帰る。…もちろん奏汰も隣にいる。

｢なぁ‥‥。｣
｢どうしたの？｣
｢もう少しで夏休みじゃん？凪咲はなんか予定あんの？｣
予定‥‥。
｢いや、特にないかな｣
｢じゃぁさ8月にある花火大会一緒に行かない？｣
花火大会‥‥。今日学校で多くの女子が奏汰を誘っていた。
けど、なんで私を誘うの‥‥？
｢他の子は？｣
｢は？｣
｢今日、女の子達に誘われてたじゃん｣
｢全部断ったよ？｣
｢へ〜。かわいそう。｣
｢かわいそうって（笑）凪咲そんなに心優しい人だった？｣
｢失礼な｣
｢ごめんな‥‥？｣
｢いい。許す。｣
あの顔で謝られたら許すしかない。