奇聞録五巡目
日常の恐怖

五巡十話。




夜中帰宅中に誰かに呼び止められた。


振り向いても誰も居なかった。


おかしな事もあるものだ。


しかし、未だに自分を呼ぶ声がする。


気持ち悪いなと思い、足早に行こうとするが、どうしても声を引き離せない。


もしかして・・・。


背中に何か居るのか?


カーブミラーで確認する。


何も居ない。



しかし、また呼ばれた。


―お〜い、お〜い・・・。―



確かに聞こえる。



上か?



ふと見上げると、顔があった。


目がくり抜けた男が、電信柱に逆さまでぶら下がっていた。


私の真上でお〜いと呼んでいた。



―オレノメシラネイカ―と、聞かれた。



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