奇聞録五巡目



虫が群がっている。


少年の体に。


―耳から這い出るムカデかな―



蛆が湧いた切れた足。


子供を抱いて焼け死んだ親子。


―黒焦げの蛆が沸き出す左足―



顔が半分飛び散った遺体が、私に訴えかける。


この足を早くどかして・・・。


―潰された頭の上に靴の跡―



私は旅をする。

下手くそな句を読み、歩く。

生と死を歩く。
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