雨粒ひとつ~メガネをかけた女の子の恋の話

朝よりバスは混んでいた。


私たちの女子校の先に男子校がある。
帰りは男子校の生徒がたくさん乗っていた。



私はまわりを見ずに、顔を伏せたままバスに乗りこんだ。


はやく降りられる様にと、バスの前方へ進むと、一番前の席が空いていた。



(良かった…。前だけ見て帰れる…)




バスが発車すると、窓に雨粒があたってきた。


だんだん、雨粒が流れるようにバスを濡らし始める。



その雨を見ながら、私はあの卒業式の日を思い出していたーー
< 5 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop