雨粒ひとつ~メガネをかけた女の子の恋の話
朝よりバスは混んでいた。
私たちの女子校の先に男子校がある。
帰りは男子校の生徒がたくさん乗っていた。
私はまわりを見ずに、顔を伏せたままバスに乗りこんだ。
はやく降りられる様にと、バスの前方へ進むと、一番前の席が空いていた。
(良かった…。前だけ見て帰れる…)
バスが発車すると、窓に雨粒があたってきた。
だんだん、雨粒が流れるようにバスを濡らし始める。
その雨を見ながら、私はあの卒業式の日を思い出していたーー