雨粒ひとつ~メガネをかけた女の子の恋の話

「…良太…」


声を掛けようとした時、部室から良太以外の声も聞こえてきた。






「良太はさー、千夏のことどう想ってるの?」




(……えっ!?私のこと……)




「なっ!?なんだよ急に…!!」




もう1人の声は、同じクラスの江上くん!?




「俺さ、ずっと、千夏のこと好きだったんだ…
でも、お前と千夏みてると、俺の入る余地なんて無いなーって思って、ずっと諦めてた…」




「・・・・」




「…でも、このままお前が何も言わず、千夏が他のやつと付き合うのなんて見たくなくて…」




「・・・・」





「お前が本当に、千夏のこと好きなら、、、
お前は別だから!お前だったら俺、諦めるから…!!」




(……………)



私の心臓がドキドキしてる。
胸が苦しい…





「…良太の気持ち、教えろよ…」




(……良太……!?)




やっと、良太が口をひらいた。




「…なに、江上、熱くなってんだよ。俺、千夏のことなんて何とも思ってねーよ。」




(……!!!!………)




良太が言葉を続ける。




「アイツは幼なじみだよ。ただそれだけ。好きでも嫌いでもねーよ。
…俺、、、お前こと応援するよ!」




「良太…そっか、、、そうなんだ…!」




「安心して千夏に言ってこいよ。」




ーーそのあとの2人の会話は分からない。




気づくと、私は校門を出ていた。


 


 
  ーーー ポツリ ーーー





雨粒がひとつ額にあたるーー




ポツポツと雨が降り出し、やがて雨あしが強くなってきた。




雨なのか、私の涙なのか分からない…




(……傘がなくて今日は良かったよ……)





涙と一緒に私の右目からコンタクトも流れ落ちてしまった…




「…良太、、、よく見えないよ…

バイバイ、良太……」





3月の雨はとても冷たかったーー
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