キミのダレ
きっとなんて信じたくない。
「おはよう…?」
「ん?あ、空おはよう!」

私が挨拶したこの茶髪ののっぽは蕾浮。
小学2年生からずっと同級生を務めてくれる、初恋相手だ。

「それで…未来さんとはどうなの?」
「どうって…話しかけてすらないよ?」

そんな蕾浮も恋くらいするらしく、隣クラスの未来さんに恋真っ最中らしい。
私は蕾浮が好きだからこそ、応援してあげたいと心から思う。
だけど、応援をすればするほどヤキモチがうざくなっていく。
ずっと奥深くに私を閉じ込めてしまいそうになる。

「もっと肉食になれよ、私みたいにさ?」
「空は好きじゃない奴にも話せるじゃん…?」

苦笑いで私に視線を送らないで。
まるで、少しも異性として見てないみたい。
でも、その方が応援しやすくて楽かも知れない。
なんて、自分に自分で言い訳をする日常。

「それは友達だからだよ、もっと視野を広げないから。」
「空の場合視野より心を広げ過ぎだよね?」
「さっきから私の事ばっか、自分はどうなの?」

後ろ髪をいじりながら私のクラスを覗く蕾浮。
私のクラスに未来さんは、残念ながら居る。
残念なのは私だ…きっと。

「俺は…いいや、もう。」
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