ゾンビバスター~4人の戦士たち~
 和己の提案で、学校を拠点に行動すことに決めた4人は校内を探索することに決め、聖と和己は各自単独行動1階と2階を、今のところ危険は少ないとはいえ女子に単独行動はさせられないからと、明美とひとみは二人一緒に校内の3階を歩いていた。

「寝泊りするのに一番いいのはどこだ?」

 階段を上がってすぐの音楽室の中へ入る。ピアノが1台、隅に譜面台が並び、壁には歴代の有名な作曲家の似顔絵が飾られている、どこの音楽室でも見る光景。

「ゾンビが3階まで上がってくるのは大変そうだけど、ここで寝泊りするにはあの飾られた絵が怖いかも」

 ひとみがきょろきょろあたりを見回しながら、不安げにいう。

「そうだね。ピアノとか勝手に鳴り出したらそれこそホラーだし」

「明美ちゃん! そんな怖いこといわないで」

 ただでさえ、人気のない教室。話す声が心なしか響いたりして雰囲気は抜群である。 

 ガシャン!

「きゃあ!」

「――‼」

 どこかでガラスの割れたような音。
 ひとみが自分を抱きしめながらその場にうずくまる側で、明美が音のしたほうを振り向く。
 下から聞こえた。
 1階か、2階―――?

「ど、どうしたのかな……?」

 ひとみは恐る恐る立ち上がると、明美の袖をギュッと握り締める。
 急に襲ってきた緊張に、二人は体を強張らせた。
 ガラスが割れた後はやたら静かで、それが余計に恐怖を煽る。

「きゃぁ~」

 聖の、声……?
 その悲鳴は、緊急事態という割には緊張感にかけていて、彼がどういう状況なのかちっとも分からない。
 ピロリピロリロ♪
 携帯のメール着信音が鳴る。
 聖からのメールだ。

『初ゾンビ出現! 聖ちゃん戦闘中♪』

 学校にゾンビが侵入してきた!? しかし聖の奴、随分と余裕があるな。

「聖ちゃん、危ないよぅ」

 聖の身を案じ、ひとみが目に涙を滲ませる。

「大丈夫だよ。愛用の長剣持ってんだから。でも、一度集合したほうがよさそうだ」

 しっかり服の袖を掴んで離さない不安げなひとみを連れて、足早に下へ降りていく。
< 16 / 126 >

この作品をシェア

pagetop