ゾンビバスター~4人の戦士たち~
「聖、起きろ」
「………むにゃ」
「起きろ」
「………むひゃっ」
何度呼んでも起きない聖に、和己がうんざりしながらため息をつく。
聖の広い額を少し強めに叩いた。
ぺチ! 少々情けない音を立てながら寝ぼけ眼の聖が目を覚ます。
「ん……アレ?」
ぼんやりとしながら上半身を起こして、叩かれた額に手をやる。
「光成、もっとやさしく起こしてくれよ」
自分を起こしてくれた人物を、まだぼんやりした瞳に映し出す。
「あ、和己? わりぃ……寝ぼけてた」
昔の仲間の名を呼んだ気まずさから、スゥッと意識が戻ってきた。
「別にいい。いま買出しから帰ってきた」
「お疲れさん! ん? その顔どしたん?」
聖にいわれ、あらためて明美の手の平形に染まった頬に手を添える。
「……勝利の勲章」
明美に殴られた瞬間、その衝撃から目の前に星が飛んだことを思い出しながら答えた。
「ゾンビが出たのか!?」
「まぁな。安心しろ、明美は無事だ」
女の子らしく頬を染めた、らしくない明美を思い出して、思わず和己から笑みがこぼれる。
「……くっくっく」
「か、和己……???」
いきなり笑い出す和己に、聖が驚いてあんぐりと口を開けて見ている。無理も無い。どちらかというと無口で無表情の和己が、急に笑い出すなんて、誰が思うだろう。
しかも、笑うと大人びた表情が一変して子供っぽくなる。見ているこっちまでが嬉しくなるような、人を惹き付ける笑顔。
こりゃ、明美が見たら惚れるな……。やっかいなライバルが増えたかもしれないと、聖は唸った。
「和己……明美の前では笑うなよ?」
不満げな表情を浮かべる聖を見て、そうか。聖は明美が好きなんだった。と、思い出し、彼女の下着を見たなんていったら殺されるな、と和己は聖の肩を叩いた。
「すまない」
「あ? な、なんだよいきなり」
急に謝ってくる和己に戸惑う。
「これから食事だそうだ」
行くぞ、と踵を返す和己を慌てて聖が呼び止める。
「なぁ和己、お前の声」
最初にその声を聞いたときから、気になっていた。
確信ではなかったが、本当のことを直接本人から聞いてみたかった。
「俺は春日部和己だ。それじゃだめなのか?」
振り返った和己の表情は、いつものようにポーカーフェイス。
「いや……そうだな、お前はお前だ! なんでもない」
俺たちには言えないなにかを隠している、そう思わずにはいられない。
でも、いつか話してくれるときが、きっとくるはずだ。
頭に浮かんだ疑問を振り払うように飛び起きると、聖は和己の後を追った。
「………むにゃ」
「起きろ」
「………むひゃっ」
何度呼んでも起きない聖に、和己がうんざりしながらため息をつく。
聖の広い額を少し強めに叩いた。
ぺチ! 少々情けない音を立てながら寝ぼけ眼の聖が目を覚ます。
「ん……アレ?」
ぼんやりとしながら上半身を起こして、叩かれた額に手をやる。
「光成、もっとやさしく起こしてくれよ」
自分を起こしてくれた人物を、まだぼんやりした瞳に映し出す。
「あ、和己? わりぃ……寝ぼけてた」
昔の仲間の名を呼んだ気まずさから、スゥッと意識が戻ってきた。
「別にいい。いま買出しから帰ってきた」
「お疲れさん! ん? その顔どしたん?」
聖にいわれ、あらためて明美の手の平形に染まった頬に手を添える。
「……勝利の勲章」
明美に殴られた瞬間、その衝撃から目の前に星が飛んだことを思い出しながら答えた。
「ゾンビが出たのか!?」
「まぁな。安心しろ、明美は無事だ」
女の子らしく頬を染めた、らしくない明美を思い出して、思わず和己から笑みがこぼれる。
「……くっくっく」
「か、和己……???」
いきなり笑い出す和己に、聖が驚いてあんぐりと口を開けて見ている。無理も無い。どちらかというと無口で無表情の和己が、急に笑い出すなんて、誰が思うだろう。
しかも、笑うと大人びた表情が一変して子供っぽくなる。見ているこっちまでが嬉しくなるような、人を惹き付ける笑顔。
こりゃ、明美が見たら惚れるな……。やっかいなライバルが増えたかもしれないと、聖は唸った。
「和己……明美の前では笑うなよ?」
不満げな表情を浮かべる聖を見て、そうか。聖は明美が好きなんだった。と、思い出し、彼女の下着を見たなんていったら殺されるな、と和己は聖の肩を叩いた。
「すまない」
「あ? な、なんだよいきなり」
急に謝ってくる和己に戸惑う。
「これから食事だそうだ」
行くぞ、と踵を返す和己を慌てて聖が呼び止める。
「なぁ和己、お前の声」
最初にその声を聞いたときから、気になっていた。
確信ではなかったが、本当のことを直接本人から聞いてみたかった。
「俺は春日部和己だ。それじゃだめなのか?」
振り返った和己の表情は、いつものようにポーカーフェイス。
「いや……そうだな、お前はお前だ! なんでもない」
俺たちには言えないなにかを隠している、そう思わずにはいられない。
でも、いつか話してくれるときが、きっとくるはずだ。
頭に浮かんだ疑問を振り払うように飛び起きると、聖は和己の後を追った。