ゾンビバスター~4人の戦士たち~
「聖、お前には感謝してる」

「感謝なんてされる覚えないぞ?」

 真剣な表情の和己に、聖が首を傾げる。

「ずっと変わらない態度で俺に接してくれたこと、本当に感謝してる」

「なんだよあらたまって。お前らしくないぞ! 変わらない態度って、あたりまえじゃんか。大切な仲間なんだからさ」 

「……何も聞かないんだな」

「すげー気になってるよ! 光成と和己、なんか関係あるんだろ!? けど、和己が話すの待ってんの」 

 聖らしく二カッと笑って、ウインクを投げて寄こしながら、

「お前がなにを抱えてるのか分からないけどさ、信じろよ。共に戦ってきた仲間を」

 和己の重い気持ちを吹き飛ばすように、その背中を少し強めにバシッ! と叩く。

「それより明日からの遠征、大丈夫か? その手の怪我じゃ、ゾンビが出てきても戦力にならないだろう?」

「戦力にならない、か」

 確かに槍を振り回すのはまだ無理だった。和己は自分の手の平を静かに見た後、聖を見て意地悪く笑った。

「その分、俺も『マリアさま』の気分でお前の無事を祈ってやる」

「や。遠慮しておきます」

 聖は頭を下げて丁寧に辞退した。

 ようやくこの街にも慣れた4人は、いくつかの戦闘も重ねた。今後、どうするか学園を出るときにもらった資料を元に、話し合いの場を設けた。その結果、最初にゾンビが目撃された場所へ行ってみようということになり、朝になれば、この街最初にゾンビが目撃されたという墓地へ調査へ行く予定になっていた。
 和己は槍が使えない。そのハンデがどうでるか分からないが、時間を無駄にすることはできなかった。
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