ゾンビバスター~4人の戦士たち~
「皆さーん、ゾンビが現れましたよー」

 再び斎の声。校庭から、二階の家庭科室に向かって叫んでいるようだ。間延びした言い方で、あまり危機感は感じないが、明美たちは呼ばれているらしかった。

「………」

 和己が面倒だと大きく息を吐く。

「出動要請が出たよ」

「行くしかないべ」

 諦めてそれぞれの武器を手に立ち上がると、斎の元へ向かった。

 校庭に出た三人を迎えたのは斎と、それにジワジワ歩み寄るゾンビ、五体。

「ちょっと! これだけの数の為に呼んだわけ?」

 呼ばれる程スゴイ数のゾンビがいるのかと思えば、たいした数でもなく、これぐらいなんとかできるはずだと明美が非難の声を上げる。

「あ、いやー……でも」

 厳しい声に苦笑いを浮かべながら、困ったなぁと頭をかいている。
 はっきりしない態度に腹が立った。

「あんた強いんでしょ? 自分でなんとかしなさいよ」

 冷たく突き放した。
 斎を前に置き、明美たちは後方で様子を見守る。万が一の時の為、油断はせず武器を手放さない。

「はわっ」

 斎は飛んでくるゾンビの腕をスレスレのところでかわし、次に反対方向から襲い来るゾンビの手をかわしたかと思うと、そのままバランスを崩して地べたへ座り込んだ。救いを求めるように後方の明美たちを振り返る。

「なにやってんのあいつ?」

 斎の様子に、明美は怪訝そうに片方の眉を持ち上げる。
 最近に出会ったときに出した技を出せば、簡単に倒せるはずだった。
 なのになんでわざわざ救いを求めるのか?
 尻餅をつき、動きもままならない斎を取り囲むようにしてゾンビが押し寄せる。
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