ゾンビバスター~4人の戦士たち~
「わぁ! 勘弁してください」

 謝るように頭を抱えて、うずくまっていた。

「なにやってんだありゃ?」

「作戦、なわけないよね?」

 目の前で繰り広げられる展開に、ア然とする明美たち。
 やがて斎を取り囲むゾンビたちの輪が小さくなり、その様子を見守っていた明美たちが、斎の身に危機感を感じ、わけがわからぬまま援護に備えて武器を握りしめた。

「かっ神様~」

「あっ!」

 明美が思いもよらない斎の行動に、驚きの声を上げる。その斎はというと、神に助けを求め顔をあげると四つん這いのまま、一体のゾンビの足の間をくぐり抜け、危機を脱した。

「やりましたよ! 自力で危機を脱しました~」

「………」

 言葉も無く、あんぐりと口を開け斎を見る。
 あほらし。
 ゾンビを前にして真剣勝負だというのに、何なのこの脱力感。
 それ以降も自分から攻撃することなく、はう! だの、ほあっ! だの奇妙な声を上げながら攻撃を避けているといった状態が続く。
 その様のなんと情けないことか。

「……やってらんないんだけど」

 ハアと大きくため息をついた。
 見てるこっちがもどかしさにイライラしてくる。

「この前の技、早くだしなよ!」

 我慢できなくなって叫んだ。
 ゾンビの攻撃を避けながら斎が振り返る。

「じ、じつは」

 困った顔でいい淀む。

「じつはあの技、いつでも出せるわけじゃないんですっすみません~」

 上手く攻撃をかわしながら、ぺこりと頭を下げる。

「……は?」

 直ぐさま聞き返す。
 いまなにかとんでもないこといわなかった?
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