ゾンビバスター~4人の戦士たち~
 慌てている余裕もなく、自分たちの武器を手に校長室奥の誓いの間へと通される。中へ入ると不思議と暖かな空気が4人を包み込む。そう、誰かにやさしく抱きしめられているような……。
 夕日を受け、オレンジ色に輝くマリア像の瞳は慈愛に満ちていた。 その前へ短剣を持ったひとみが、静かに進み出る。

「マリアさまの御前より、誓いの儀式を始めます」

 キーの高いひとみの声が、小さな部屋の中に響く。

「我に忠誠を誓うものは、我の血と共に交われ。忠誠を誓う者には聖なる祝福を与えん。」 

 マリア像に背を向けて立つひとみは、手の甲を上に左手を真っ直ぐ前へ突き出すと、右手で持っていた短剣の剣先をその手の甲へ持っていく。僅かに躊躇した後、それで手の甲を少しだけついた。苦痛で表情がゆがむ。すぐさま短剣を離すとじわり、赤い血がにじみ出てきた。
 来て、というふうにひとみが視線を寄こす。まず聖が進み出て、ひとみの前に跪くと手の甲を取り、血の出ている傷口に口付ける。次に、明美が、最後に2年の日下部和己がそれにならう。次にそれぞれが持っている武器を、ひとみが一つ一つに祝福の口付けを与えていく。聖は長剣、明美は細剣、和己は槍。

 そして無事に儀式は終わり、晴れて『聖戦士』となった―。
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