ゾンビバスター~4人の戦士たち~
 どきっとした。
 私も心のどこかで思っていたことだったから。

「機嫌が悪い原因はそれ?」

 確かに斎が来た頃から、和己は面白くなさそうにしていた。

「お前に怪我を負わせた」

「これは私が油断して怪我したんだってば」

 苦笑しながら答える。
 しっかり処置を施してもらった足首の熱に、湿布の冷たさが心地よい。

「お前の名前を呼ぶのも気に入らない」

「な、なにそれ」

 和己があんまりかわいいことをいうから、吹き出してしまった。

「それじゃ子供じみた嫉妬だよ」

「……そうか。こういうのを嫉妬っていうのか」

 あまりにも真面目に受け答する和己に、逆に心配になった。

「もしもし和己くん?」

「なんだ」

「私の言葉を素直に受け入れ過ぎ」

「でもこれが嫉妬だっていうんだろ?」

「そ、それは……」

 私は和己じゃないんだからわかんないよ。

「私も斎はあんまし好きじゃない。たぶん途中から入って来て、仲間ヅラしてるのが面白くないんだと思う。あの特別な力もイマイチアテになんないし」

 話をそらすつもりもあって、斎に対する自分の正直な気持ちを話した。

「ひとみが元気になってくれたら、いざというとき斎に頼らなくてもいいのにね」

「……そうだな」

 話しに乗ってくれたことに正直ホッとした。

「……戻ろう。お前に湯冷めされても困る」

 夜になると、今まで降っていた雪がうそのように晴れて、たくさんの星が空に瞬いていた。

 今日のあれは抱きしめられた内に入るのだろうか?
 斎や聖の手は簡単に振り払えるのに、和己の手は振り払うことが出来なかった。
 あの時、自分の中に微妙な気持ちの変化が確かに表れていた。

 まずい方向に気持ちが傾いている気がする。

 その思いを振り払うように首をふった。
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