ゾンビバスター~4人の戦士たち~
 結局、儀式が終わった後、春日部和己は誰とも口を聞かないまま、先に寮へ帰ってしまった。
 明日の準備のため、寮へ向かう3人の足取りは重い。

「大丈夫なのかな……」

 先に不安を感じたひとみが俯く。
 4人は力を合わせる大事なパートナーなのに、交流すらしない男が加わったのだ。不安を感じるのも当たり前だろう。

「ま、そんなに気にすんなぃ。校長が押してくれた奴だし、これから仲良くなっていけばいーじゃん!?」

 茶目っ気たっぷりの笑顔を浮かべた聖が、ひとみを元気付けるようにその肩をポン! と叩く。

「聖ちゃん……」

 ひとみは嬉しそうにそんな聖を見て目を輝かせている。
 日下部和己……顔は良かったんだけどな。
 口も聞かないからどんな声かも分からなかった。
 静かなダークブラウンの瞳がやたら印象に残った。
 あいつ……一体どんな奴なんだろう?

「じゃあ、私部屋に戻るわね」

 ひとみの声に、明美が我に返る。

「あ……うん、明日。早起き辛いだろうけど、明日はうちらの旅立ちの日だからね!」

「うん、頑張るね。それじゃあ、おやすみなさい」

「おやすみ」

 ドアの向こうに消えていくひとみを見届けて、まだ側に聖がいることに気付いた。

「なに、なんか用?」

「明美ってさ、なぁんか俺に冷たくね?」

「別に」

 そのまま自分の部屋へ向かって歩き始める。その後を聖が追いかけてくる。
「用がないなら自分の部屋に戻れよ」

「ほら、なんか俺に冷たい」

 足早に振り切ろうとしているのに、めげずに付いてくる。

「そんなこといいたい為にくっついてくるわけ?」

「いや、そうじゃなくてさ」

「私だって明日の準備で忙しいんだ」

「……うん、そうだよな……じゃ、明日」

 急に足を止めると、ごめんなといって踵を返していった。
 な、なんなんだよ。なんで謝るんだ?
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