ゾンビバスター~4人の戦士たち~
そして少年が反撃に移る。素早く繰り出す刀で和己たちを、じわりじわりと押していく。それは剣技というより力技に近い。その勢いに武器をかざして耐えるのがやっとという感じだった。
和己! 聖‼
未だ朦朧とする意識の中で、ただ見守ることしかできない自分がもどかしかった。力になれない悔しさから拳を強く握り締める。
このままじゃまずい。ああ、だけど私の剣は家庭科室に置いたままだ。力の入らない体で立ち上がろうとした時、
「!」
悲鳴のようなものが聞こえ明美はハッと顔を上げた。戦闘中の和己たちには聞こえていないようだったが、明美の耳には確かに聞こえた。
ひとみの悲鳴。
胸騒ぎがする。
どうしてだろう。見えない恐怖に追い立てられるようだ。
そして見上げた窓から、矢のような鋭い光が飛び出してくるのを見た。明美がとっさに叫ぶ。
「聖! 和己っ危ない‼」
「!」
「ぐ……っ!」
その矢が真っ直ぐに貫いたのは少年の体だった。一瞬にして起こったことに、唖然と見守る明美たち。少年は己に起きたことが信じられないのか、胸に刺さる矢を確かめるように、ゆっくり視線を動かしてから顔を上げた。窓に立つ人物の姿に、その瞳が驚愕に見開かれる。そこには開け放れた窓から風を受けて立つ人影。
「ひとみ……!」
「ま、さか……そんな……ごほっ」
苦しげに咳込んだ少年が、膝から崩れ落ちる。すでに体の一部が砂のように崩れ始めていた。
「ぼくはもう用なしってことですか……」
「お前ゾンビだったのか!?」
驚きの声を上げる聖のかたわらで、苦しげに顔を歪ませ、息も切れ切れに少年が口を開く。
「お前達に、一つだけ忠告してやる。仲間を、信じるな……」
搾り出すようにいうと、やがて塵となって消えた。
和己! 聖‼
未だ朦朧とする意識の中で、ただ見守ることしかできない自分がもどかしかった。力になれない悔しさから拳を強く握り締める。
このままじゃまずい。ああ、だけど私の剣は家庭科室に置いたままだ。力の入らない体で立ち上がろうとした時、
「!」
悲鳴のようなものが聞こえ明美はハッと顔を上げた。戦闘中の和己たちには聞こえていないようだったが、明美の耳には確かに聞こえた。
ひとみの悲鳴。
胸騒ぎがする。
どうしてだろう。見えない恐怖に追い立てられるようだ。
そして見上げた窓から、矢のような鋭い光が飛び出してくるのを見た。明美がとっさに叫ぶ。
「聖! 和己っ危ない‼」
「!」
「ぐ……っ!」
その矢が真っ直ぐに貫いたのは少年の体だった。一瞬にして起こったことに、唖然と見守る明美たち。少年は己に起きたことが信じられないのか、胸に刺さる矢を確かめるように、ゆっくり視線を動かしてから顔を上げた。窓に立つ人物の姿に、その瞳が驚愕に見開かれる。そこには開け放れた窓から風を受けて立つ人影。
「ひとみ……!」
「ま、さか……そんな……ごほっ」
苦しげに咳込んだ少年が、膝から崩れ落ちる。すでに体の一部が砂のように崩れ始めていた。
「ぼくはもう用なしってことですか……」
「お前ゾンビだったのか!?」
驚きの声を上げる聖のかたわらで、苦しげに顔を歪ませ、息も切れ切れに少年が口を開く。
「お前達に、一つだけ忠告してやる。仲間を、信じるな……」
搾り出すようにいうと、やがて塵となって消えた。