イジワル上司と秘密恋愛

けれど意外にも、志乃は大きな目で強く見据えると反抗的な態度を見せた。

「なんで来たんですか」

「なんだその態度は。会社でのこと、まだ怒ってるのか?」

「会社で生意気な態度をとったことは反省してます。けど、そんな態度をとられるのが嫌なら、もう……ここには来ないで下さい」

——何が不満なんだ。あとどれだけ愛してやれば素直にこっちを向くんだよ。

はがゆい焦燥ばかりが気持ちを覆い、余裕をなくして彼女を力任せに抱きしめてしまう。

「このワガママ娘。どれだけ愛してやれば素直になるんだよ」

「……大っきらい」

「知ってる。聞き飽きた」

今夜ばかりは、その意地っ張りが——可愛くない。

俺はマンションの外通路だというのに、人目も気にせず強引に志乃の唇を奪った。
 
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