イジワル上司と秘密恋愛
「う……、痛……っ」
「大丈夫ですか!?」
親切な人たちが駅員さんに報せてくれたり救急車を呼んでくれたりして病院に運ばれたけれど、私は痛みと恐怖でずっと震えが止まらなかった。
だって、一歩間違えればこんなの命を落としかねない。
犯人に心当たりはないけれど、むこうは単なる嫌がらせじゃなく本気で私を邪険に思っているのだと強く実感する。
やっぱり……新海さんの言う通り悠長にしていないで東京に帰った方がいいんだろうか。
そんな考えがよぎったけれど、あわてて頭を振り弱気を振り払う。
こんな卑怯なことする人に負けちゃ駄目だ。絶対に正体をあばいて警察に突き出してやるんだから。
私は病院で包帯を巻かれた自分の足を見ながら、ぐっと怒りにこぶしを震わせた。