イジワル上司と秘密恋愛
仕事を終え退勤する頃にはさすがに心身とも疲れきってしまっていた。
あんな恐ろしい目にあったうえ、改めて綾部さんの態度が冷たいものだと痛感したことが私にとっては大きなショックだった。
私がこの地で頑張っていられるのはやっぱり綾部さんがいるせいだから。
嫌がらせに屈しないで気持ちを強く持っていられたのも、それに他ならない。
けど、その支えに突き放され、なおかつ嫌がらせがエスカレートした今では……自分は本当にここに留まり続けるべきなのか、本気で疑問に思えてくる。
痛む身体で帰宅ラッシュの満員電車に乗る気にはなれず、今日はタクシーを使って帰宅した。
心も身体も、おまけに財布にまでダメージを負ってしまい、ますます気持ちの落ち込みが止まらない。
私は自分のアパートへ入るなりベッドへ倒れこんで泣いた。
「もうやだ……なんでこんな目に遭うの……誰か助けてよ……」
見えない悪意の恐怖はピークに達していて、心細くて寂しくて涙を零し続ければ、心に浮かんでくるのは綾部さんのことばかりだった。