イジワル上司と秘密恋愛
「え……」
とつぜん突き放すような態度をとられて、私は困惑してしまう。
さっきまで真剣に私の話を聞いてくれていたのに、今はまるで早く私と離れたいみたいだ。
——やっぱり、呆れられちゃったのかな……。
さっきまでの高揚していた気持ちはすっかり落ち込んでしまったけれど、でもやっと謝罪を伝えられたことだけは喜ばしかった。
呆れられて嫌われてしまっても仕方ない。それでも私は、綾部さんに愛されて嬉しかったということを、どうしても伝えたかったのだから。
そのために努力してここまで来たことを思うと、ようやく半分は成就できたようで気持ちがホッとする。
出来ればさっき言い損なってしまった気持ちも伝えたいけれど……でもそれは胸にしまったままにしておくべきなのかとも考え直した。
今は本当に恋人がいる綾部さんに、好きと伝えたところで迷惑かもしれない。
そんな風に悩みながら歩いていたせいで、私は真後ろにピッタリと人が付いて歩いていることに気付かなかった。
「春澤」
「えっ!?」