イジワル上司と秘密恋愛
荷物を置いてからまた同じ通路を通ると、もうふたりは居なかった。
なんだったんだろうと気になりながらも資料室に資材を取りにいくと、そこには新海さんが同じように資材の搬入をしようと準備していた。
「ああ、春澤。ちょうど良かった、今これ持って行こうと思ってたんだ」
「はい、私もそれを取りに来たところです」
こちらに向かってファイルの束を渡す新海さんの様子に特に変わったところはなかったので、私は思いきってさっきのことを聞いてみようと口を開く。
「あの、さっき課長と話をしていた女性の方って……どなたですか?」
「え?」
「いえ、どっかで見たような気がしたんで。ちょっと気になっただけです」
あまり良い顔をされなかったので、聞くべきじゃなかったかと思い慌てて取り繕う。
けれど、部屋を出ようとした私に新海さんは答えを投げ掛けてきた。