イジワル上司と秘密恋愛

***

その日はずっと悪夢を見ているような気がした。


私は何のために今まで頑張ってきたんだろう。

綾部さんに本当に愛されていたと気付いて深く後悔して、同時に彼のことをとても好きだと思い続けてきたこの一年半は——全部無意味だったんだろうか。

あまりのショックで、気を抜くと呆然としてしまう。

『俺は好きだよ』の言葉も、『愛してる』の言葉も、やっぱりみんなみんな嘘だったの……?

私の初体験を奪ったときも、やっぱりただの遊びだったの……?


ずっと支えにしてきた『本当はとても愛されていた』という真実が、音を立てて崩れていく。

私はうっかりすると泣くどころかその場に倒れこんでしまいそうで、早くひとりになりたいと、ただそれだけを願いながら時間が過ぎるのを待った。

 
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