イジワル上司と秘密恋愛

単純かもしれない。でも——私は今朝までのすっかり淀んでいた心が晴れていくのを感じた。

つらいこと、泣きたいこと、たくさんあったけれど……無駄じゃなかったんだ。

頑張って努力した日々はちゃんと私の味方になっていて、一番つらいときにこうして救ってくれた。

私——頑張ってきて良かった。この事業部に来て良かった。ここで働けて……本当に良かった。

こらえきれず涙を滲ませてしまうと、「春澤ちゃん、泣き虫やなあ」と片桐さんが笑ってハンカチを差し出してくれる。

それを受けとってニッコリと微笑むと、私はみんなにもう一度頭を下げて、

「ありがとうございます。これからも頑張ります!」

と、ここで頑張っていくことを、周囲と自分に宣誓した。


——私は負けない。たとえ心の支えを失くしたとしても、ここには頑張るだけの価値がある仕事がある。だから絶対に嫌がらせなんかに屈しない。

そう固く心に決めて。

 
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