イジワル上司と秘密恋愛
けど、綾部さんもリラックスしているのか周囲の人と楽しそうにお喋りをしている。
その穏やかな笑顔にまたもうっかり見入ってしまっていると、ふいに彼がこちらを向いた。
その瞬間目が合ってしまって、私は彼を見ていたことに気付かれたと思い焦ってしまったのだけど——。
「あ……」
綾部さんは綻んでいた表情を引きしめると、何のリアクションもせずにこちらから視線を逸らした。
——やっぱり綾部さん、私を嫌ってる……。
分かってはいることだけど、目の当たりにするたびに傷ついてしまう。
この前の朝礼では『頑張ったな』って褒めて微笑んでくれたのに……。
そう思ったけれど、単にみんなの前だからつっけんどに出来なかっただけかもしれない。
彼の冷たい態度に少し悲しくなってしまったけれど、せっかくの晴天に景色のいい山に来たのだからと、気持ちを立て直すことにした。