イジワル上司と秘密恋愛
「誰かいるか? 誰か……春澤、いたら返事しろ」
「綾部さん!?」
人影が近付き声がハッキリ聞こえてくると、私はそれが誰のものだかすぐに認識した。
どうして? なんで綾部さんがここに……
信じられない奇跡にあったようで、感激で胸がいっぱいになる。
私は急いで懐中電灯のスイッチを入れると、窓に向かって明かりを付けた。
「綾部さん! ここです! この部屋に閉じ込められてます!」
声を張り上げて叫ぶと綾部さんは気がついたようで、まっすぐこちらへ駆けて来た。
「春澤! 大丈夫か!?」
「綾部さん!!」
あちこちガラスの欠けた小さな窓越しに、綾部さんと対面する。
彼の顔を見たとき張り詰めていた緊張感が解け、安堵で涙がボロボロ零れてしまった。