イジワル上司と秘密恋愛
「い、つつ……」
「大丈夫ですか、綾部さん!」
心臓が止まるかと思うぐらい心配したけど、綾部さんは顔をしかめながらも
「大丈夫、ベッドのおかげで助かった」
と言って、身体を起こした。
けれど、ホッと溜息を吐いた私とは裏腹に彼は天井を見上げて眉をひそめる。
「しかし参ったな……まさか床が崩落するとは。助けに来たつもりが、これじゃ俺まで監禁状態だ」
確かに、綾部さんまでこんな状況に巻き込んでしまったことに罪悪感が募る。
「ごめんなさい……私のせいで、どうしよう」
申し訳なくて顔を俯かせてしまうと、彼はポンポンと慰めるように頭を撫でてからベッドに座った。
「大丈夫、ここに来ることは他の者に伝えてある。明日の朝になっても帰ってきてないのが分かれば、助けに来てくれるさ」
「そうですか……」
どうやらふたりでこのまま餓え死ぬようなことにはならなさそうで、少し安心する。
そんな私を見て綾部さんはベッドをポンポンと叩き隣に座ることを促すと、
「それに……春澤をこんな目に合わせたのは、元をただせば俺が原因だからな」
と、驚くべきことを口にし出した。