イジワル上司と秘密恋愛

素直に全てを話してくれた今、綾部さんに突き放されて残った傷が髪を撫でられるたびに癒えていく。

「いいんです……私を守ってくれようとしたんですから」

「でも、守りきれてなかった」

そして綾部さんは伸ばしていた手で——ついに私を抱き寄せた。

「春澤がこっちの事業部に来たときは本当に嬉しかった……。もしかして俺を追いかけてきてくれたのかなんて自惚れたりもした。なのに、まともに話すことも出来なくて……」

「綾部さん……」

綾部さんの手の平が私の頬を優しく包む。そしてゆっくりと深く唇を重ねた。

「ん……ん、」

「キスしたかった、お前と。話して、抱きしめて、キスして、もう一度志乃を抱きたいってずっと思ってたよ」

唇の離れた隙に熱っぽく囁き、綾部さんは今度は貪るように激しくキスを重ねる。
 
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