イジワル上司と秘密恋愛

「麻里絵、やっぱりお前の仕業か」

私の後ろに立っていた綾部さんがきつく前を見据えながら言う。

「なんのこと？　私は新海くんから淳耶さんの姿が見えないって聞いたから、心配して探しに来てあげただけよ」

たった今、新海さんとあんなやりとりをしたばかりなのにマリさんはこれっぽっちも悪びれなく、平気でウソを吐いた。

「無事で良かったわね、そちらのお嬢さんも。さ、帰りましょう」

マリさんはいけしゃあしゃあとそんなことを言い、ドアを開いて私たちに外に出るように促す。

少し躊躇ったけれど、ここに留まるわけにもいかないので私は綾部さんと頷き合ってから部屋を出ることにした。

けれど。

「っきゃあ……っ!!」

扉を出ようとした瞬間、バチッという衝撃が身体に走り私はその場に倒れこんでしまった。