イジワル上司と秘密恋愛
「夜中にムキになってこんなとこまで探しに来る相手のどこが関係ないのよ。淳耶さんってば、本当にウソが下手ね」
マリさんはそう言ってせせら笑うと、転がすように私を足で蹴って部屋の中へ押し戻した。
「お嬢さん、この部屋で一晩中淳耶さんと一緒だったんでしょ? 良かったわね。大サービスよ、あなたを一生この思い出の部屋から出られないようにしてあげるわ」
「やめろ、麻里絵!!」
綾部さんの静止も厭わず、マリさんは動けない私の腕を手錠でベッドのポールに繋いでいく。
そして、新海さんに押さえられている綾部さんの両手にも手錠を填め、彼の動きを封じた。
顔を引きつらせた綾部さんに、マリさんは頬にキスをしながら嬉しそうに笑う。
「大丈夫よ、淳耶さんはこんな所に置いてったりしないから。このまま私のお家に連れて帰って、ワンちゃんみたいに可愛がってあげる。だってしょうがないでしょ? 淳耶さんてば全然私の言うこと聞いてくれないんだもの」
——このひと、普通じゃない……!
彼女の発する言葉のひとつひとつに、戦慄を覚えずにはいられなかった。
私を階段から突き落としたり常軌を逸してるとは思ったけれど……監禁や殺人まがいのことを平然とするマリさんは、私の目には異質な生き物にさえ見えた。
そして、マリさんは動けない私の元に来て言う。