イジワル上司と秘密恋愛

ドタドタと廊下を何かが走ってくる音が聞こえ、次の瞬間大きな打撃音と新海さんらしきひとの短い悲鳴が聞こえた。

そしてさらに誰かが倒れこむような音がして、マリさんの悲鳴にも似た「浩輔!!」という叫び声が耳に届く。

なにが起きたのだろうと必死に首を動かして扉のほうを見やると、ガチャガチャという音がしてから大きく扉が開け放たれた。

「春澤! 大丈夫か!」

「……木下くん!?」

声にならない叫びを、必死に喉から搾り出す。

目の前に現れた人の姿を、私は信じられない気持ちで見つめた。

「大丈夫か春澤、今助けてやる」

木下くんは私の側まで来ると手錠が填められてることに気づいて、慌てて廊下に倒れてる新海さんのところへ戻りポケットを探った。

そして鍵を見つけその場に居た綾部さんの手錠も解くと、私の元へ駆けつけ手錠から解放してくれた。
 
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