イジワル上司と秘密恋愛

だからといって会社でイチャついたりはしないけど、堂々と綾部さんの彼女を名乗れるのは、やはり嬉しいものだった。

そして、それを喜ぶ私のことが、綾部さんは可愛くてたまらないなどとのろける。


「あー! なんで勝手にお砂糖入れるんですか!」

リビングのテーブルで私が仕事をしながらコーヒーを飲んでいると、目を離した隙に綾部さんは悪戯で角砂糖を入れてきた。

「もう、ダイエットしてるのに。綾部さんのイジワル」

「だって志乃の怒る顔が可愛いから、つい見たくてさ」

楽しそうにそんなことを言ってテーブルに頬杖をつく綾部さんは、まるで子供みたいだ。

一緒に暮らして前より距離が近くなって分かったけれど、綾部さんてば案外子供っぽいみたい。それにやっぱり。

「それに何度言っても志乃が『綾部さん』なんて呼ぶから、仕返しだよ」

「あ、ごめんなさい。だって『淳耶さん』って呼んでたら、会社でもうっかり呼んじゃいそうで怖くって」

「俺はかまわないけど? そんなドジな志乃も可愛いなーって笑うだけだよ」

「ええ? 笑うだけでフォローはないんですか?」 

綾部さんは、ちょっぴりイジワルみたいだ。

 
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