イジワル上司と秘密恋愛
何が理由か分からないけれど、綾部さんは最初から私と浮気するつもりで飲みに誘ったんだ。
ひどい。ひどい。酔っ払って意思が無いのに抱いたりして。しかも、キスもセックスも初めてだったのに、途中で止めてくれなかったなんて。
何よりも、それが遊びだという事実が辛い。
私はついにヒックヒックと嗚咽を上げるほど泣いてしまった。ショックで、悲しくて、顔を俯かせたままポタポタとシーツに涙を落としていく。
すると。
「……どうした……? まだ痛むか……?」
まだ夢に半分浸っているような声を出し、綾部さんは目を閉じたまま私の方に手を伸ばしてきた。
寝起きのせいか、いつもより低く掠れた声を聞いて私の心臓がドキリと大きく跳ねる。