イジワル上司と秘密恋愛
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こんな事で仕事を休むのは、社会人失格だろうか。
総務部に病欠と嘘の連絡を入れたスマホを握りしめ、私は自室の天井をボンヤリと見上げた。
ひとり暮らしを初めて六年、もうすっかり見慣れたはずのワンルームマンションの天井が、今日はなんだか違う部屋に見える。
首を上げて天井を見上げた姿勢のまま、重力に逆らわず身体を仰向けに倒れこませた。ギシリとベッドがスプリングを軋ませて私を受けとめてくれる。
そのまま足を投げ出すように伸ばしたら、腿の奥がシクシクと鈍く痛んだ。
「……病欠、ウソじゃないもんね。本当にお腹痛いんだもん。だから今日はお休み」
馬鹿みたいな言い訳をひとりぼっちの部屋で呟く。そして。
「……綾部さんが悪いんだもん……」
自分の情けなさを全部彼に押し付けて、私は両手で自分の顔を覆った。