イジワル上司と秘密恋愛
自覚が無いうちに失った純潔の痕が痛い。けれどそれ以上に、心が痛い。
分かっている。たかが一夜の過ち、大人の火遊び。二十四歳にもなってこんなにショックを受ける事じゃないって。会社をズル休みするなんて、あまりにも大人気ないって。
けれどそれでも、今日は綾部さんの顔を見たくなかった。
酷いと責めてやりたいのに、彼を前にしたらきっと私は泣き崩れてしまうだろう。
身体を結ぶ事でこんなに想いが燃え上がるだなんて知らなかった。
酷い男、大嫌い。なのに、どうしようもなく好きで、もっと優しく抱きしめて欲しいだなんて。心が矛盾で埋め尽くされていく。
誰かに抱かれた事もなければ、本気の恋もした事が無かった私にとって、こんな複雑な迷宮に出口なんて見つかるはずも無かった。