イジワル上司と秘密恋愛
自分の心と身体がこんなにも貪欲だったのかと気付かされる。
けれど、餓えれば餓えるほど綾部さんが私を満たしてくれるから、情欲の火はいつまでも消えない。
「志乃、上手くなったな」
初めて抱かれたあの日から、蕩けるような悦楽といっしょに教え込まれたこと。
教えられて、変えられて、私の身体が綾部さんの色に染まっていく。
その証のように肌に刻まれていくキスマークが嬉しくて愛しくて、私は貪欲に何度も何度も「もっと」を繰り返した。
——夢のような二日間だったと思う。
好きな人をずっと独り占めできることが、偽りなく自分の気持ちを解放することが、こんなに幸せだなんて。
けれど、夢は覚めるものだから。
現実に戻った朝は残酷で、夢はしょせん夢なんだと私をあざ笑う。