イジワル上司と秘密恋愛
——誰のせいだと思ってるの。イジワル。イジワル。
「大丈夫です。自分の体調ぐらい自分で何とかしますから」
彼の方を向かずに眉間に力を籠め、パソコンの画面を睨みながらロックを解除する。
「そういう問題じゃない。悪化する前に帰れと言ってるんだ」
——もう話し掛けないで。綾部さんなんか大嫌いなんだから。
「大丈夫です。心配しないで下さい」
じっとパソコンのモニター画面だけを見ているのに、綾部さんの表情が変わって周囲が不穏な空気に包まれたことが分かった。
「意地を張るな、春澤。あとで辛くなるのは自分なんだぞ」
——分かってる。綾部さんを好きでいる事がどんどん辛くなるって、たったさっき痛感させられたばかりだもの。だから、もう。
「課長には関係ありません、放っておいて下さい!」
——お願いだから、放っておいて。