イジワル上司と秘密恋愛

***

泣き疲れていつの間にか寝てしまっていた。

目を覚まし、部屋の中がすでに薄暗くなりはじめてることに気付く。

「やだ……、私、着替えもしてない……」

皺の付いてしまったスカートに、泣いてボロボロになってしまったメイク。そんな自分の情けない姿を鏡に映して、またひとつ溜息を吐く。

そして着替えをしながら部屋に掛かっている時計を見上げた。

……綾部さん、仕事終わったら部屋に来るって言ってたな。どうしよう……。

時計の針は十七時過ぎ。早ければあと二時間もすれば彼はここに来てしまうだろう。

けれど、会いたい気持ちと会いたくない気持ちが私の中に揺れている。

会って今日のことを謝らなくちゃいけないと思う。公私混同して彼の顔に泥を塗るような態度をとってしまったのだから。

でも、今会っても自分が苦しくなるのも分かりきっているから。


どうしていいか分からないまま迷い続け、それでもいつ綾部さんが来てもいいようにメイクも身支度も整えなおして待ってしまっていたときだった。

 
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