レンズ越しの彼
何事かと
びっくりして質問してくる
真由の声にも
耳を貸さず、


私は真由のもとへ戻ると、
腕をつかんで
走って嵐の部屋へ行った。



「嵐、窓辺に立って」



「窓のふちに腰かけて」



「レンズをにらんで」



「口をすこしだけあけて」



私はシャッターを切るごとに、
次々と嵐に
注文をつけた。
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