レンズ越しの彼
長細いきれいな指で
くいっと私の顎を
もちあげて、


当たり前のように
口づけた。


驚きのあまりに
固まってしまった私を見て、
もう一度
くちびるを重ねる。


一瞬のできごと
だったのかもしれないけど、
私には何時間にも思えた。


嵐はぺろっと私の
くちびるをなめてから、
ゆっくりと離れた。

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